遠投かご釣り用ウキの検討2(カゴとのバランス)

遠投かご釣り用、ウキの検討(カゴとのバランス)

 こんにちは! 一平です。第64回は、前回のウキの検討「続き」です。

第63回では、遠投かご釣り用ウキ5種類について、安定性などの比較検討をしました。
対象は、遠投かご釣りでポピュラーなPIAREウキ、アポロウキ、渚の遠投師製ウキ(2種類)、カゴ釣り研究会製ウキの5種類です。一番大きな特徴は、どのウキも大きすぎるほどの総浮力(余浮力)を持っていて、10~12号のオモリを使った時の残浮力は、カゴ釣り研究会製のウキで7~9号、その他のウキで12~16号もあることが判りました。

さて、メーカーは、それぞれのウキに対応した遠投かごを販売しています。
第64回では、ウキと遠投カゴのバランスについて報告したいと思います。
特に遠投カゴの実際の重量と表示カゴ重さは大きく違うため、実際にウキにかかる力はどれくらいかを検討してみたいと思います。

1.ウキにかかる力  
 ウキとそれに対応するカゴの5種類を、写真―1、写真―2 に示します。
写真―1にはPIAREウキ、アポロウキ、渚の遠投師製ウキを、写真―2には渚の遠投師製
ウキ(埋め込みタイプ)、とカゴ釣り研究会製ウキを示します。

ウキ3種の写真

写真ー1 ウキと遠投かごの組み合わせ

ウキ2種類の写真

写真ー2 ウキと遠投かごの組み合わせD,E

写真―1のPIAREカゴ・Aの12号は、カゴ全体の重量は約79.5gです。これはオモリの号数でいえば 79.5/3.75= 21.2号 に相当します。
メーカーは「カゴ全体の重さは21号相当であっても水中では浮力があるため、実質12号のオモリと同等で、ウキにかかる力も12号相当です」と言っていますが、本当なんでしょうか?

そこで一平は、それぞれのカゴの浮力を測定し、各メーカーの水中でのカゴの重量すなわちウキにかかる重量を算出してみました。

図―1に浮力測定方法を示します。表―1に浮力測定結果とウキにかかる力を示します。

浮力測定方法図

図ー1 浮力測定方法

図-1に示すように水槽に水を入れ、上から遠投かごを吊り下げます。遠投かごが沈むに従って、デジタルはかりの数値は増して遠投かごが完全に水につかった状態で、重量を図ります。元の容器と水の重さを引いてやれば、浮力が求められます。

表―1には、カゴ自体の重量(X)からカゴにかかる浮力(Y)を引いて、実質のウキにかかる重量(X-Y)を算出した結果を示します。

ウキにかかる力、測定結果

表ー1 ウキにかかる力、測定結果

表―1より

  • A・PIARE(ピアレ)12号のカゴは、水中での重量(ウキにかかる力)が11.9号相当となり、メーカーの公称値12号にほぼ等しい。
  • B,C,D(アポロ、渚の遠投師製カゴ)の水中での重量は、10.5号および10.9号相当となり、約1~1.5号分だけ公称値(12号)より少なかった。
  • E(カゴ釣り研究会製)カゴは、10~12号用カゴとはいうものの、ウキにかかる実質の重量は、20.5gすなわち5.5号分しかなかった。

従って、

  • ピアレのカゴ・Aの12号は、水中での実質重量が11.9号とほぼ公称値と等しく、さすがにカゴとウキだけで6,000円するだけのことはありますね。
  • また、アポロ・Bと渚の遠投師製・C、Dカゴは、12号カゴの場合、ウキにかかる力は公称値よりも1~1.5号分少なかった。実際にはカゴに天秤や道糸の重さが加わることを考えると、ちょうど良い水中での重さと言えるかもしれません。
    果たしてメーカーがそこまで考えて設計しているかは、解りませんが・・・
  • 一番驚いたのは、カゴ釣り研究会製カゴ・Eでした。10~12号用カゴというのに水中での実質重さは5.5号分しかありませんでした。その理由は、上カゴに浮力を持たせるために、カゴの中に大きな発泡スチロールの浮力体を入れているからです。

 第63回で報告した実験では、カゴ釣り研究会製・Eのウキに実質12号のオモリを取り付けると、残浮力は7~9号となり、他の4種類のウキに比べて4~8号分くらい少なかったです。しかし、カゴ釣り研究会製・専用のカゴを取り付けると、水中での重さは5.5号分しかないので、4~6号分ほど ウキにかかる力が少なくなることが解りました。
(カゴ釣り研究会製の)ウキとカゴをセットで使用する場合には、他のウキと同じくらいの残浮力(13.5~15.5号)になるとは驚きでした。

すなわち実験は、12号相当のオモリをぶら下げたため、専用カゴ(表示12号)を使用した場合より6.5号分も重いオモリをぶら下げたことになりました。
第63回で報告した通り、カゴ釣り研究会製・Eのウキが一番安定していたのは、これが大きな原因の一つであることが解りました。もちろん重心の位置が一番下にあったのも大きな要因ですが・・・

メーカーは、どこまで考えてウキや遠投かごを設計しているのか、よくわかりませんが
一度機会があればメーカーに聞いてみたいと思っています。
しかし、いずれにしてもウキとカゴの関係が良く分かって、興味深い結果となりました。

2.他のウキの例 
 1)サビキ用遠投ウキ 

  図―2にサビキ用遠投ウキ8号と10号の例を示します。

サビキ用ウキ写真

図ー2 サビキ用遠投ウキ

図―2より、
 図-2の白いラインが、それぞれ8号、10号分のオモリを付けた時の喫水線でした。
また、8号ウキの総浮力は11.1号で10号ウキの総浮力は13.3号でした。
従って残浮力(余浮力)は、8号ウキで3.1号、10号ウキで3.3号となり、約3号分強の重さでウキは完全に沈むことになります。
遠投かご釣り用のウキ(A~E)の残浮力は13~15号分もあるのに比べて随分小さいことが解りました。サビキ用遠投ウキは、ウキの感度を重視していることが解りますね。
安定性は、ウキの下部の円錐形の部分で持たせ、上部の棒部分を細く、長くして感度をよくしていることが解りました。

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コメント

  1. 岸田 信明 より:

    ご無沙汰しています。ご記憶かどうかは分かりませんが以前正月に平磯公園正門付近でご一緒させていただいた岸田と申します。淡路の船瀬での釣りのお話をさせていただきました。このブログはいつも愉しみにしていますが一つ質問があります。浮力とウキカゴの関係は大変よくわかりましたが仕掛け重量と竿の負担はどのようなものかということです。記述されているとおり仕掛けは相当な重量ですが果たして3号、3.5号竿ではどこまで大丈夫かという疑問です。一平さんはどのように認識されていますかご存じでしたらお聞かせください。数年前にシマノのブルズアイを購入した際にメーカーへ質問メールを送付しましたが大雑把なものでしかありませんでした。宝塚の一ファンより。

    一つ

    • 一平 より:

      最近、平磯海釣づり公園で時々話しかけられるので、誰だったか忘れがちなので間違っていたならごめんなさいですが、岸田さんとは、エビ投入機の話をした記憶がありますね。さて、竿選びで頭を悩ませるのは、オモリ負荷です。これについては第34回、第53回で報告しました。竿の表示オモリ最大負荷は15号(56g)なのに80g、100g
      の重さのカゴやウキを投げても竿は折れないの?と思うのは当然の疑問ですね。結論から言いますと、竿の最大錘負荷の2倍くらいはOKのような気がしています。理由は第53回のとおりです。但し、竿にもピンからキリまであります。一平が第53回~58回で取り上げた竿だと問題ないと思いますが、特にカーボン比率が90%以下の竿や安価な竿だと保証はできませんね。

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