仕掛けが軽ければ、魚の食いは良いのだろうか?

1.魚の摂餌(せつじ)行動について
 こんにちは! 一平です。
第69回第70回で、「魚への負荷は軽く、飛距離の出る遠投カゴの開発」について報告しました。
第71回は、遠投かご釣り時において「魚への負荷が軽い仕掛け」について、もう少し深く考えてみたいと思います。
魚がエサをくわえて、ウキを沈める場合には

① 魚が海底方向に動く場合には、ウキの残浮力が魚への抵抗となり、
② 水面方向に動く場合には、遠投カゴの水中での重さが抵抗になります。

故に、魚への負荷を軽くするには、ウキの残浮力を小さくするか、遠投カゴの水中での重さを軽くすれば良いことになります。
しかし、魚がエサを食べる時の魚への負荷は少なくなりますが、この時本当に、食いが良くなると言えるのでしょうか。

写真ー1 明石海峡を望む 平磯海釣づり公園(2021年11月26日)

写真ー1 明石海峡を望む 平磯海釣づり公園(2021年11月26日)

 フカセ釣りでBや2B等の1g以下のオモリを使って、魚が食ってくるのは分かりますが、遠投カゴ釣りのオモリは、普通に10号(37.5g)以上もあり、カゴ全体の重さは
60g以上もあります。そして魚がエサをくわえて動くときには、さらにカゴの抵抗(形状抵抗、摩擦抵抗、うず抵抗)等が加わります。
それでも5~10㎝の小さい魚も食いついてくるのです。魚への負荷を小さくする意味が本当にあるのでしょうか。

ウキの残浮力を小さくするには同じオモリに対して、小さな浮力のウキを使うとか、ウキを削る等の方法が考えられます。この時、ウキの感度は間違いなく良くなることは確かですが、食いが良くなるかどうかは定かではありません。
しかし、ウキの感度が良くなることによって、腕の良い釣り人にとっては、よく釣れることにつながることは確かなようです。

釣りの腕でなく、魚の食いが良くなる仕掛けを考えるのであれば、魚のエサの摂餌(せつじ)行動(食べ方)も考えなければなりません。
例えば、虫エサの摂餌(せつじ)に際して魚は、一度吸い込んでから、軽く吐き出し、次に本格的に摂餌に入ります。魚はエサを吸い込む際に異常を感じると、警戒心を高め、本格的な摂餌行動に至りません。と多くの文献や釣本で書かれていますし、釣り人も何となく感じているところですね~。

例を挙げれば、クロダイは、初めコツンコツンと小さい当たりがあります。ここで合わせると万事休すです。生きエビのスズキの釣りも同様です。ヒラメもよく似ています。生きアジやイワシに飛びつき、くわえますが一気に食べることはしません。

一平は何十年も前、初めて徳島県の鳴門にヒラメ釣りに行きました。船釣りでした。
その時、隣の友人は何匹も釣るのに一平は一匹も釣れませんでした。
一平はこの時「ヒラメ40」という言葉も知りませんでした。
「ヒラメ釣りにおいては、アタリがあったらラインを送り、40くらい数えてしっかりと食わせてから、合わせなければならない。早く合わせることは禁物だ。」ということです。一平は、引きがあったらすぐ合わせていたのでした。
一方、ブリ、カツオ、マグロなどの回遊魚は、エサに一気に飛びつくので、向こう合わせで釣れると言われています。

「釣りの科学技術対話 第5章―摂餌行動と魚の生理」に非常に興味深い記事が載っています。魚の摂餌(せつじ)行動のパターンを表にまとめているのです。それを表―1に記載させていただきました。

表ー1 摂餌行動の分類 

出典 釣りの科学技術対話 第5章ー摂餌行動と魚の生理

 表―1より、クロダイ、チダイ、イサキは、ゆっくりと味わいながら食べ、針掛かりしたら急に反転します。グレもこの部類に入るのではないかと一平は思います。ところが真鯛は、エサに一気に飛びつき、エサをくわえたら一気に反転する魚ということです。
カワハギ、フグの齧り(かじり)取り型という表現は本当にぴったりですね~

これらを見ると、魚によって「食いが良くなる仕掛け」も異なってくるようです。
さて、今回は魚が食らいついた時の魚に掛かる負荷について考えてみたいと思います。
ここは遠投カゴ釣りでの真鯛釣りに絞って考えてみたいと思います。

2.真鯛の摂餌(せつじ)行動からみた、仕掛けの考察 
 一平は、以前から漠然と疑問に思っていたことがあります。
それは、魚がエサをくわえハリスがゆるむ方向へ動く時には、魚には負荷がかからなくて、しかもそういうケースは、よくあるのではないかという疑問です。

特にここ6~7年遠投カゴ釣りにのめり込んで、真鯛を狙うようになってからは、ハリスが長いので、このことが気になっていました。
しかしどんな釣り本にも、この辺(あたり)のことを詳細に記述したものが見つからなかったのでそのままになっていましたが、今回本気で考えてみることにしました。

図―1に、魚がエサをくわえた時の仕掛けの状態を示します。

図ー1 魚が掛かった時の、ウキ、カゴ、ハリスの挙動

図ー1 魚が掛かった時の、ウキ、カゴ、ハリスの挙動

 図―1は、潮の流れに沿ってハリスが、図の右方向に流れている様子を示します。
天秤の先A点から、針先のB点までのハリスの長さをRとし、B点で魚が食らいつくとします。
2枚潮などがなければ、ハリスはおおよそ楕円形か直線に近い形で流されていると考えられます。
そしてこのRを半径とした球体を黄色の線で示します。(図―1には、分かりやすく半球で示しています:この空間をX領域とします。)

魚がエサをくわえて、
① 黄色部分の球体内へ動けば(X領域内)、ハリスがゆるむ方向なので、魚にはウキの浮  力もオモリの重さも、動くときに生じるカゴなどの抵抗もかかりません。

② Y領域(図の水色部分)に向かって動くときは、遠投カゴとウキを引っ張るので、魚には主に遠投カゴの水中での重さとカゴが動くときの水の抵抗力が掛かります。

③ Z領域(図のピンク色部分)に向かって動くとき、魚にはウキの残浮力とウキやカゴの水抵抗等の力が掛かります。

真鯛はエサをくわえた時、どちらからエサに飛びつき、どの領域に動くのでしょうか。
ここで魚の摂餌行動がヒントになります。
泳力のある魚は、もちろん潮の流れに関係なく泳ぎますが、基本的には魚は潮に逆らって泳いでいると言われています。

図-2に、真鯛が魚に食らいついた時の状態を示します。

図ー2 真鯛の摂餌行動

図ー2 真鯛の摂餌行動

 真鯛がBの点でエサに飛びつくと、この瞬間真鯛は、図―2に示すようにB点より少し前に(図の左方向に)出ます。潮の流れは、右方向なので仕掛けも右に動いていて、これもハリスのゆるむ方向です。
すなわち真鯛はX領域に突入し、ハリスはゆるみ、魚はカゴやウキの抵抗は全く受けません。この時真鯛は、何の抵抗もなくエサをくわえていると考えられます。

真鯛の摂餌行動は、エサをくわえたら一気に反転するということでした。従って、エサをくわえた直後、真鯛は反転するので、YかZ領域方向に動きます。
これが真鯛の引き「ウキ、スポン!」につながっています。ウキは一気に沈みます。
この時点で、ウキやカゴの抵抗が真鯛にかかりますが、もう針掛かりした後です。
あるいは、逆にしっかりと針掛かりすることになります。

もちろんそうでない摂餌行動もあるとは思います。しかし、魚の習性を考えれば、圧倒的に今述べたような行動をとる確率が高いのではないかと思われます。
多くの場合、真鯛はカゴやウキの負荷がかからない状態でエサを食べているのではないでしょうか。
そうなると、真鯛に対する負荷の軽い仕掛けを考えてもあまり効果がないことになります。
少々大きなウキであろうが、重い遠投カゴであろうが関係ありませんね。

第69回、第70回で、魚への負荷が軽い仕掛けを、本気で考えましたが、どうやら真鯛釣りには、あまり効果がないような気がします。
もちろん新しく考えた「水遠投カゴ」は、ウキの感度が良くなることは間違いないので、釣りに有利なことは間違いありませんが・・・

「魚への負荷は軽く、飛距離の出る遠投カゴの開発」第2弾を考え、すでに試作品を作っていましたが、真鯛の遠投カゴ釣りに関しては、あまり効果がないように思えてきたので第2弾の報告は止めにしました。

釣りの仕掛けもなかなか難しいですね~(笑)

                          2022年4月  一平

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