釣り具メーカー4社の両軸遠投竿の徹底比較
こんにちは! 一平です。
竿の種類は非常に多く、種類も価格もまちまちで、どの竿を選べば良いのか苦労します。
そして、モデルチェンジやニューモデル化が頻繁に行なわれており、どこがどう違ったかも分かりにくい製品もたくさんあります。
さらに、中古品や廃版になった竿もネットでは多く売られています。中には少しだけ名称が変わる場合もあったり、そもそもネットで販売している商品の中に、名称の間違いや存在しない長さの竿が表示されていたりするものもあります。
そこで57回は、「がまかつ、シマノ、ダイワ、宇崎日新」の両軸遠投竿の比較、評価をしてみたいと思います。
1.両軸遠投竿とスピニングリール用竿との名称の違いに注意
両軸遠投竿とその他の竿(主としてスピニングリール用)の名称は非常によく似ていて、紛らわしいものが多いので注意が必要です。
それを表―1に示します。
表―1より
・がまかつはベイトかB、シマノはRP、ダイワはB、宇崎日新は両軸という表示が入っ
ていれば両軸用竿です。
2.各メーカーの両軸遠投竿比較
2.1 剛性の強い竿の比較
2020年2月現在、4社の中から、それぞれ最も剛性の強い両軸遠投竿を選び、比較をしました。それを 表―2に示します(仕様、価格は、2020年の各社カタログ数値です)
表ー2より、遠投かご釣り用両軸竿(5.5~5.85m)において
- メーカー4社の中で、それぞれ最も剛性の強い竿は(2020年2月時点)①~⑤で、4号竿の最大オモリ負荷は20号です。
- ①~⑤の竿は、①、③、⑤の「7万円台の高価な竿」(橙色で表示)と②と④の「4~5万
円台の比較的安価な竿」(緑色表示)の2種類に分けられます。 - 5.5m~5.85mの4号竿の自重は、軽い順に ⑤< ③<①<②<④ です。価格は、高い順に ③>① >⑤>④>② です。
- 軽くて、飛距離が出るということを重視するなら、⑤の宇崎日新・ゼロサム磯両軸X4か③のダイワ・オレガ遠投、①のがまかつ・カゴスペシャルⅣです。
少し重いのを我慢するのなら、相当安い竿を手に入れることが出来ます。それが②のシマノ・ブルズアイ遠投竿か④の宇崎日新・イングラム ブラック エディション両軸遠投竿です。
以上が、各メーカーの最も剛性の強い竿の比較です。
これらの竿の最大の特長は、剛性の強さと、反発力によって超遠投が出来ることです。体力は必要ですが、100m以上の遠投が必要な場所での釣りには、これらの竿は大変有効です。
2.2 硬、柔の両軸遠投竿の比較
表―3に、メーカー3社の両軸遠投竿の比較(硬、柔の竿比較)を示します。
表―3より
- 表―3に硬、柔の各社の代表的な竿(長さ5.5~5.85m)を示します。⑥⑦は硬い竿、⑧は柔らかい竿、⑨⑩は、硬すぎず、柔らかすぎず一般的な竿です。
- 価格は、高い方から ⑦>⑥> ⑧≒⑨≒⑩ です。
⑦・剛弓カゴは4号竿で6.1万円、⑥・がま磯アルデナは5.6万円、⑧~⑩のインプレッサ、イングラム、プロミネントは、それぞれ4万円前後の価格です。 - 特に2019年10月に発売された⑩・プロミネントは、⑥~⑩の中で最安値です。
⑩・プロミネントは⑨・イングラムと仕様はほとんど変わらず、10g重くなりましたが価格は2,000円安くなりました。 - ⑥のガマ磯アルデナ、⑦・剛弓カゴB遠投は、一般の人でもシャープに振り切れて、軽い力で飛距離を稼げる竿との評価です。
- ⑧・ダイワのインプレッサは、安価で万人向けの柔らかい竿です。ただし、100mの遠投は難しい。100m飛ばせば相当なレベルの遠投師と言われます。この竿は、遠投師向けというより、実釣り派向けの竿です。
- ⑨・宇崎日新のイングラム、⑩・プロミネントは、最もポピュラーな万人向けで、硬すぎず、柔らかすぎずの竿です。
- ダイワの⑦・剛弓カゴ竿、⑧・インプレッサ竿は、4号竿で先径が2.1㎜、1.9㎜と他メーカーに比べて極端に細い。特に旧モデルの剛弓4号竿は1.9㎜、インプレッサ4号竿は
1.7㎜とさらに細かった。先径が細いため、シャープに振り切れ、感度も良くて釣り味も良いのですが、やや耐久性に難があったと言われています。特に剛弓カゴB遠投竿は、飛距離も出ましたが、先径が細かった分2番の固定ガイドにガタが、生じやすかったいう記事も見受けられました。
新モデルは改良されましたので、さらに人気の高い竿の一つになるものと思われます。
3.10種類の両軸遠投竿、価格と自重の相関
図―1に表―2、表―3に示した10種類の竿について、価格と自重の関係を示します。
注) 1.価格は、2020年の各社カタログ数値である。
2.表中の竿の長さは、5.5~5.85mで、竿は3~4号である。
図-1より、10種類の遠投かご釣り用竿は、
- Aの高価格帯に属する①③⑤と、Bの中価格帯の⑥⑦と、Cの低価格帯の②④⑧⑨⑩に
明確に分けられます。Aは突出して高価な7万~8万円で、Bは、5.5~6万円、Cは、3.7~5万円です。 - どの価格帯においても、竿の自重が重いほど価格もやや高くなる傾向にあります。
- 剛・竿は、Aの高価格帯とCの低価格帯の両方に属しています。その他の竿は、硬・竿が中価格帯に柔・竿が低価格帯に属しています。
4.両軸遠投竿の選定について留意すべきこと
表ー4に最も剛性の強い竿①③⑤(A竿)と硬い竿⑥⑦(B竿)を示します。
- A,Bの竿は、おもり最大負荷と適合ハリスが同じ、自重はBの方が軽く、価格も2万円ほど安い。この数字のみで判断すれば、だれが見ても軽くて、安いBの竿(⑥⑦)を選びますね~
しかし、なぜAの竿はこんなに高いのでしょうか?
なぜ、がまかつの①・カゴスペシャルⅣベイトは、遠投かご釣り師にそれほど人気があるのでしょうか?そこでもう少し突っ込んで調べてみました。まず、同じダイワの竿で比較します。
③オレガ遠投竿と⑦剛弓カゴ竿を比較します。③のオレガ遠投竿には有るが、⑦・剛弓カゴ竿には無い機能(構造)が以下のX,Y,Z,です。
X.ESS構造(エキスパート センス シミュレーション) ロッドの曲がりに対して、竿が元に戻ろうとする力(復元力)を生じさせる、いわゆる 「タメ性能」を竿の先から胴部に至るまで均等に配分する構造
Y.3DX構造 カーボン繊維の構造を工夫し、優れた形状復元力(しなりの返りが早い)を持つ構造
Z.SVFカーボン構造 ロッドの性能に最も影響を与えるカーボンシートにおいて、カーボン繊維の密度を高めてロッドのパワー、細身化をはかった構造
③のオレガ遠投竿は、竿のタメ性能としなりの返りが早い構造を追求し、かつロッドのパワーと細身化を図った構造なのです。
したがって、この竿は磯からレコードクラス(10㎏オーバー)のでかい青物を釣るためのロッドで、瀬際での大型魚の抵抗に対し、バラシを抑えながらぐいぐいとターゲットを浮かせることができる竿なのです。
磯のレコードクラス(10㎏オーバー)の大物を狙うのに使うならAの価格帯の竿です。
一般の防波堤などで使う場合には、Bの価格帯の竿で十分だということが解ります。
但し、遠投競技に出るほど体力に自信のある方ならAの竿となるでしょう。
そして、一般の防波堤などでせいぜい70~80㎝クラスの真鯛や青物(せいぜい5~6㎏)を狙うならCの価格帯の竿で十分だということが分かります。
さて、皆さんはどちらの竿を選びますか?
次回(第58回)は、「両軸遠投3号竿の利点、あなたは3号、4号どちらを選びますか?」
です。