真鯛釣りのハリス長さの考察

1.ハリスの長さについて 
 こんにちは、一平です。
最近、波止からの遠投カゴ釣りをする人が増えてきており、真鯛狙いの人も増えてきているような気がします。
そこで第72回は、遠投カゴ釣りにおける真鯛釣りのハリスの長さについて考えてみたいと思います。
一平は、ハリスの長さについて真剣に考えたことは余りありませんが、真鯛釣りにはハリスを長くとるという考え方が定着しています。
一般の釣りにおいて、普通の仕掛けのハリス長さは、せいぜい3m位ですが、船釣りでは、ハリスの長さは8~10mが普通です。中には10mを超えるのが一般的になっている船もあると聞いています。
しかし、これは船や磯などのかなり水深のある場所での話です。
平磯海釣づり公園等のようにせいぜい10m前後の水深(約60~80m沖)においての釣りでは、ハリスの長さはどう考えたらよいのでしょうか?

写真ー1

淡路島・岩屋から明石方面を望む(2022年5月10日)

  色々な釣り本や、ネットでの記事によればハリスを長くとるメリットのある釣りは、コマセを使う釣りです。その心は、マキエとサシエを同調させることにありそうです。
真鯛釣りで水深約10mの時、マキエとサシエを同調させるには、どのように考えたらよいのでしょうか?ハリスはどの程度の長さが適切なのでしょうか。
一平の独断と偏見で書いてみたいと思います。(笑)

2.マキエとサシエの同調 
 平磯海釣づり公園は、東西に一直線に長い波止です。
潮は、東から西または西から東の左右方向に流れ、沖に払い出していく流れは、少ないです。
もちろん二枚潮の時もありますが、多くは左右一定方向に流れています。
従って、真鯛狙いの釣りは、仕掛けを潮の流れに乗せ、流しながら釣る場合がほとんどです。
そこで潮が、一定の方向に流れている場合のサシエとマキエの同調を考えてみます。
図―1には、潮の流れに乗ってカゴが流される時、カゴから出たマキエがどのように動くかを示しています。

図ー1 遠投カゴ釣りにおけるマキエとカゴの位置関係

図ー1 遠投カゴ釣りにおけるマキエとカゴの位置関係

  •  まず、潮の流れに乗って遠投カゴとウキが流される時、カゴは重さがあり、ウキとカゴが抵抗となるので、カゴとウキの移動速度は、潮の流れの速度よりも必ず遅くなります。
    カゴが重いほど、流されにくく、移動速度も遅くなります。

  •  また、カゴから出たマキエ(ここではシラサエビを考えてみます)は、潮の流れに乗って下流に流されます。よほどの緩い流れでなければシラサエビは、潮の流れに逆らって自力で上流方向へ動くことはありませんし、ほとんどは潮の流れに乗って下流へ流されていきます。従って
  •  図-1に示すように遠投カゴがA1の位置からA2、A3と移動すると、マキエはB1の位置からB2、B3へと移動します。この時、カゴとマキエの距離は、どんどん離れていき、針についたエサとマキエが同調するところはありません。
    第一投目で撒いたマキエは、針より速い速度でどんどん流れていって、マキエの効果はほとんどありません。20~30m位ウキを流した時、マキエは40~50mも先に流されて行って、これではたして真鯛を寄せることができるのでしょうか。

 しかも第二投目までには、仕掛けを回収し、針にエサを付け、マキエをカゴに入れ、カゴを投げる操作があり、相当の時間がかかります。その間にマキエは遥か彼方に流れ去ってしまいます。
たかだか十数匹のマキエが60~70mの沖で、しかも水平方向に50m、100mと離れ
た場所に流されて行って、マキエの効果があるなんて考えられませんね~

では、どう考えたらよいのでしょうか。
その前に、もう少し他のマキエについても考えてみたいと思います。

図―2は、遠投カゴ釣りで、マキエにオキアミ、シラサエビ、ブツエビを使った場合の
仕掛けとマキエの位置関係を示した図です。

図ー2 マキエの違いによる、潮流れ状態の相違

図ー2 マキエの違いによる、潮流れ状態の相違

  •  オキアミは死んでいて軽いので、シラサエビやブツエビと比べて早く流されます。
    流れが速ければ速いほど、カゴとマキエは離れていきます。シラサエビは上下左右に動きますが、やはり潮の流れに沿ってだんだん下流へと流されていきます。

  •  ブツエビは下に(底方向)に力強く泳ぎますので、流されにくく、潮の流れが緩いとサシエとマキエが同調する場合があるかもしれません。

これらは非常に重要です。
これが潮流れの速い平磯海釣づり公園で、オキアミがシラサエビよりも圧倒的に釣れない理由だと一平は思っています。さらに言えば、ブツエビが一番よく釣れるのです。但し、ブツエビが一番高価です。
水深も関係しています。水深3~5mならオキアミの方が大量に撒くことができ、マキエの効果も大いに期待できそうです。

 現在、平磯海釣づり公園では、真鯛が最もよく釣れるエサは、ブツエビで次にシラサエビ、そしてダントツで釣れないのがオキアミです。
他の場所でオキアミとシラサエビの差がこんなに出るところは少ないのではないかと思っています。
平磯海釣づり公園では、50~80m位の沖で真鯛を狙う人の多くは、シラサエビを使っています。このため真鯛もシラサエビを食するのに慣れていて、シラサエビが良く釣れるのかもしれません。
いずれにしても、平磯海釣づり公園での遠投カゴ釣りでは、オキアミは一番同調しにくいエサです。但し、30m位までの沖で水深が3~5m位のところではオキアミでOkです。

さて、潮の流れが速い時は、全くと言っていいほど真鯛は釣れません。
流れが速ければ速いほど、カゴとマキエの距離はどんどん離れていってマキエの効果は、
ほとんどありません。撒けば撒くほどエサ代の損失です。

では、潮の流れがないか、あるいは流れが非常に緩い場合は、どうでしょうか。
この場合は、マキエは流されずに海底に留まっているので、ベラやアコウやガシラ、およびチャリコ(約20㎝以下の小さな真鯛)やフグ、スズメダイなどのエサ取りは食ってきます。マキエが効いているのです。
この時、釣った魚の胃袋を開けてみると、シラサエビがいっぱい詰まっています。一平は、魚を〆る時、ときどき魚の胃袋の中身を確認しています。
潮の流れがない時、真鯛はほとんど釣れません。エサ取りや他の魚が先にエサに食らいつくのでしょうか、あるいは魚の習性によるものなのかもしれません。

それでは、ある程度の潮の流れがある場合に、シラサエビを使った時、サシエとマキエが同調しないのになぜ釣れるのでしょうか。
それを図―3で考えてみたいと思います。

図―3は、マキエを何回も繰り返した場合の海中でのエビの挙動を示します。

図ー3 流れがある水深約10mでのサシエとマキエの同調

図ー3 流れがある水深約10mでのサシエとマキエの同調

  •  何回も遠投を繰り返していると、シラサエビは潮に流されながらも海底にたどり着きます。シラサエビは海中に漂っている場合は、つかまるものがありませんが、海底に
    たどり着くと、砂や岩や海藻などにしっかりつかまって、潮に流されることなくその場所に留まることができます。
    N投目のマキエが海底に到着した時、それ以前に撒かれたシラサエビと合流することになります。するとその場所から塊のような、あるいは帯状のようなマキエの群れができることになるのではないかと考えられます。

  •  そして、N投目以降の遠投カゴの針についたエサがここを通過するときには、丁度マキエの群れの上を通ることとなり、サシエと以前に撒かれたマキエが同調することになるのではないかと一平は考えています。
    すなわち、投げたカゴの中のマキエとサシエが同調するのではなく、それ以前に何度も投げて撒かれ、海底に留まっているマキエと後から投げたサシエが同調し、ここに真鯛も寄ってきて、釣れるのではないかと一平は考えています。
    これからすれば、一定の距離で同じ場所に投げることは重要で、遠投の腕も必要です
    ね~

  •  この考えは、カゴから海底までの距離が4m程度と短いので成立すると思われます。
    水深は、これより深くてもかまいませんが、カゴから海底までの長さを10m以上もとると、マキエが海底に着くまでの時間が長くなり、流される距離も長くなってマキエの効果もなくなってしまうからです。

結局、刺しエサは海底近くに有る方が良いということになりそうです。
図―3の例で言えば、カゴから海底までの長さが約4mなので、ハリスは3m位で良いのではないでしょうか。もう少し水深があれば、ハリスは長くした方が良いかもしれません。

現在、平磯海釣づり公園での一平の真鯛釣りのハリス長さは、2ヒロ前後(約3m)です。
上記の理由の他に、これ以上ハリスを長くすると、竿の先端部分にウキが引っ掛かり、竿の長さが5.3mであっても取り込みに苦労するので、これくらいの長さにしています。

                             2022年5月11日

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